思うんだけどさ、陰謀論を振り撒いてる人達って実は自民の工作員だよね。突然こんなことを言って申し訳ないけど、でもやはり問題あると思う。先日、ある人とコメントやり取りしていて書かなければいけないなと思ったんだ。ここで言う陰謀論というのは良く言われるイルミナティとかフリーメイソンのユダヤ陰謀論(反ユダヤ主義)のことね。最近はアップデート版の通貨発行権云々というのが流行っているらしい。荒唐無稽と済ませたいけど、どうやら度を越しているように感じる。リベラルの間でもこれ程蔓延したら、雰囲気的には自民や安倍の悪行から目を逸らす、現状肯定の責任回避の道具に使われてしまいそうだ。
はっきり言うね。私自身はそんなオブセッション全く信じない。まず言ってる内容がどうこうでなく、アプローチの仕方が全く間違っているんだよ。この前マルクスの弁証法的唯物論を出して世界は毛細血管で繋がってると言ったでしょ。生き物なんだよ。世界は。受験勉強だけで、しかも文部省に決められた枠内だけの、さらにマルクスのマの字も知らない経済学者に何が分かる?事物は関係で成り立つ。その関係は時点、地点、立場(誰が見るか)で全て変わる。仮に誰かがそれを理解しようとしたらそれはその自分の理解できる形に置き換えてのみの理解なんだ。結局その人間は客観は何も見ない。見るのは自分の中で自分で作り出した物語を見ることになる。知ってるかい経済学者さん、こういうのは現象学というんだよ。この世界は受験勉強の信じ難い程狭い知識(しかも大半が全く役立たずのガラパゴス知識)ではどうにも理解不可能だ。結局彼らは善と悪を仕立てて物語を作り出す。世界に物語を求めてたらどんな新しい説を立てても堂々巡りが続くだけ。
確かに陰影は世界を形づくる。しかしそれは単純にトーンなんだよ。暗い部分に悪魔を当てはめるのも明るい部分に天使を当てはめるのも間違っている。それらは単純に構成要素で明るい部分だけでも暗い部分だけでも世界は成り立たない。知ってるかい経済学者さん、こういうのは記号論というんだよ。言っておくけど黒だけでも最低でも10段階のトーンを見分け再生出来なければだよ。あなたにその眼はあるかい?でなければまともな描写は不可能だよ。私が描写やトーンとか言ってるからってまさか絵の話だなんて思っていないよね?例えば量子力学の祖ニールス・ボーアはピカソのキュービズムを絶賛した。どうしてか判るかい?量子力学では世界を決めるのは確率なんだよ。神は確率なんだよ。その場での事物と事物の絆で世界は決定される。ピカソが描いたのはその絆なんだよ。それを美術館の学芸員がピカソの絵の物語性を説明しだす。ナンセンスでしょ。世界の本質を探そうとしているのかもしれないけど、逆にどんどん離れていく。
今まで憲法を無視して閣議クーデターを起こしメディアをコントロールして悪行の限りを尽くしてきたのは安倍政権でしょ。アメリカ協調軍事拡大原発促進の政策を推し進めて来たのは自民党でしょ。それを妄想世界のフリーメイソンだとかイルミナティとか悪玉に仕立てて、怒りの矛先を変えようとしているの?ユダヤは悪だなんて一生懸命言ってる人、あなたは一人でもユダヤ人の友達持ってるの?陰謀論を言い出す人の共通点はメディアへの懐疑なんだよね。確かに日本のマスメディアは全く信用できない。明治以来、大政翼賛的性格をずっと引きずっている。ネトウヨは戦後のリベラル教育が気に入らないと自分が学校で落ちこぼれたのを民主主義のせいにしているようだけど、とんでもない、日本のマスメディアこの情けない姿を見ればわかるでしょう。民主主義なんて日本にまだほとんど根付いていないんだよ。正直はっきり個々の人格形成時点で日本の自由、平等、個人の権利等の認識不足は歴然としている。だからこの国の人権や表現の自由レベルで世界と張り合えるなどと決して思わないほうがいい。歴史上一度も民主革命がなかったこの国でリベラルが疑心暗鬼になるのは当然だけど、その狭い暗い部屋の小窓からどうせ世界も同じだろうなんて眺めないほうがいい。陰謀論を鵜吞みにする前にヨーロッパ人やアメリカ人の知り合いを作ったほうがいい。そうすれば暗闇で化け物を見る可能性は減る。
昨今の歴史ブームのお陰で、中には明治維新を日本の民主革命だなんて取り違えている人もいるかもしれない。というかそれこそ反動・歴史修正主義者の陰謀なのだけどね。実際は明治政府は攘夷論者によって作られた政府であってその後の経過を見れば明治政府のファッショ的性格は明らかだし、ナチス以前にとっくにナチスしている。その辺りを一部リベラル派は攘夷論や民族排斥でも民主主義が可能だとでも勘違いをしてしまった。小心者の「天下は万民の天下にあらず、天下は一人の天下なり」(by吉田松陰)という考えが明治維新の大元の思想で、その小心者が大先生扱いされている世界ならば、どんなお粗末な陰謀論でも容易に受け入れられてしまうのも頷ける。
とにかく世界は一部の金持ちや権力者がコントロールできるほど簡単なものではない。同様に一人の人間がこれさえつかめば世界は理解できるという錬金術など存在しない。CIAがビンラディンを作り出したとか、シリア政権を倒すための大量の金がISに渡ったとか当然そういうこともあっただろう。でもそれはうまくいったのかい?それこそが一部権力が画策して世界を変えようとも決してうまくいかないということの例証だろう。
仮に安倍政権への憤懣やる方ない思いの、うさを晴らすために陰謀論を持ち出してきたとしても、それこそやっていることはナチズムと同じなんだよ。自民への怒りを薄めるために頭の中で化け物を作り出し一部民族を非難し排除するの?英語ではJewish Conspiracy(ユダヤ陰謀論)はAntisemitism(反ユダヤ主義)とほぼ同意語だよ。まさかホロコーストを肯定化したいの?安部は太平洋戦争を否定できますか?という共産党の質問に最後まで返答できなかった。陰謀論者はヒトラーがユダヤ人を迫害した理由を肯定化しているのと同じだよ。それではいつかネトウヨや在特会の考え方も肯定化しだす。自分が安部と同等になることに嫌悪感はないの?確かに自分たちの物語を正当化するために多少勉強したのかもしれない。でもいつまで経っても一皮剥けない。自分を昇華できない学問は学問と言えるの?
リベラルの皆さん、どうぞ騙されないで。