少年とホームレスはラジオの曲に合わせて
楽しそうに手を取り合って踊った
その曲は実は恋人同士が一年間棒に振ったって
かなりがっかりな曲だったけど
二人はそんなのお構いなしさ
少年は家の冷蔵庫からお菓子をかすめて
ホームレスにおすそ分けしたり
ホームレスは代わりに
腐ってないコンビニ弁当の調達の仕方や
一番夕陽のきれいな場所を教えてくれたよ
ある日ホームレスは街のあちこちから
ガラクタを集めて少年に言ったんだ
実は彼は宇宙から来たんだって
任務を終えたから自分の星に帰らなきゃだって
空き地に色んなガラクタを積み上げた
どう見てもロケットに見えなかった
でも彼の星では偉大な芸術がロケットなんだって
芸術家がロケットを作るんだって
もちろん少年は芸術もロケットも大好きさ
毎日手伝ったよ
でもそのうちいじめっ子の不良達が
それを嗅ぎつけた
少年をからかい始めたんだ
お前はホームレスの子だって
臭いからあっちに行けって
ホームレスは少年を助けるために戦ったよ
ぼこぼこにやられたけど勝利の踊りを踊ったのさ
でも卑怯な不良達は警察にも通報したんだ
少年の母親はもう空き地に行ってはいけないと言った
ホームレスは少年に悪い事をしたと思った
街にクリスマスツリーが飾られる頃になった
ホームレスのロケットはようやく完成した
その日初めての雪が降った
ホームレスは少年の家の前に行き
ごめんねと、小さな声でつぶやいた
その晩ロケットは発射された
空が赤く輝いた
いつもより何千個も余分に星が光った
白い煙が何億光年の彼方まで続いた
次の日少年は夢中で空き地に走った
M.Suzuki
これで映画とか作りたかったよ。具体的に全部イメージわいてたんだ。
(これは2015-10-17にアメブロDeity Cliqueに投稿した記事です。)